僕らが結婚すると君の寂しげな顔と僕の寂しげな顔がひとつになった子供が産まれてくるのだと思う。

 君の目は過去を見つめて淋しそうだし、僕の目も未来を見つめて淋しい。僕には過去を見つめる余裕はないし、君のようにほかの人と楽しく喋ったりすることができない。

 君は僕には幸せに見えるし、僕は君にはいつも忙しそうにしていて落ち着く暇もなくて、そうして哲学書や宗教書を夜遅くまで読んで苦しんでいると思っているだろう。でも僕は今はそんな本を読むのに飽きたし、ただ布団の中でいろんなことを考えながら横たわっている。

 君は福岡から時々、日曜日に、僕はいつも日曜日も図書館で勉強しているから、僕の留守番電話に掛けてくるのだろう。返事のない声が、いつもいつも吹き込まれている。

 

 

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