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五島灘
打ち寄せる五島灘の白波。いやこれは東シナ海の白波なのだろうか。遠く煙って見える水平線の向こうにきっとある中国からの波なのだろうか。そこには十億も人が居るという。なんだかその大きな大陸は天国のようにも思える。白い白い雲に覆われて煙って見えるから。
でもそこでも人々はみんな苦しんでいるんだなあと思う。幸せな人はごく僅かで、みんなみんな苦しい毎日を送っているんだなあ、と思える。
天国って何処にあるのかな、と僕は思った。本当に天国って何処にあるのだろう。白い白い雲の上にあるのだろうか。
雲の下はみんな普通の世の中で、苦しんでいる人たちがいっぱいいる。でも空の上には、青い青い空の上にはきっと天国があるのだろう。
そこにはきっと、白い白いとても美しい天使さまがいて僕を迎えてくれるのだろう。 中二の頃、松山のあの通りで見た活水のチャペルの方から歩いてきていた白いとても美しかった女の子のように。
夢のような白く煙った思い出がなぜ今こうやって佇んでいる時に涌いてくるのだろう。あの元気だった中学・高校時代を今自分は知らず知らずに必死になって思い出そうとしているのだろうか。
中二の頃…あのテニスの試合の合間に僕は友だちとアイスクリームを食べに行ってたときにその少女を見たのだった。あれはたしか九月だった。そして僕を見て微笑んだその女の子の姿は九月の眩しい太陽に照らされていて、今も僕の瞼の中に夢の中での出来事のように焼きついている。
星子さんへ
ここは僕らの思い出の浜辺とちがって、中国大陸を遥かに望む浜辺だけど、僕らが眺めていた浜辺には雲仙岳がいつも白く煙っていてそして天草やそれに阿蘇山だと思われるちょうどここからの中国大陸の眺めが思い出されてきます。
僕はこの頃めっきり杏子さんとの思い出の浜辺へ行かなくなりました。そしていつも250ccのバイクであてもなく…そしていつもたった一人でぼんやりといろいろな処へ行っています。
愛子
僕には怖しい生きることへの懐疑感がある。そうして僕は生きてゆく価値のない人間なんだと…。
愛子はのほほんと暢気でいいなあと思います。でも僕はこの東支那海というか五島灘を見つめていると“自分が崩壊する、自分が粉々になる…”といったような恐怖感にとらわれてしまう。
この夏、愛子と遊びたかったです。でも夏休みは過ぎ去り、愛子たちは忙しくなったんでしょう。でも僕は孤独で暇をもて余しています。
——僕は次々と心の中の僕の恋人に胸の中で静かに手紙を書いていっていた。僕の心の中の不安や焦りはそうして自然に癒されていっているようだった。遠くの遥かに霞んで見える中国大陸の風景と一緒に。
完
http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm